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Lee-Byung-hun addicted

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Fly me to the Paris <6>

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2007/03/17

「ビョンホンssi・・そろそろ起きないと」

揺が彼を起こしたのは早朝5時。

この日は6時半から撮影の予定だからホテルを6時には出発の予定になっていた。

「もうちょっと・・・後5分・・寝かせて・・」

髪をくしゃくしゃにして寝ぼけながら答える彼を眺めながら揺はちょっと切なくなった。

自分のせいで足を怪我するアクシデントに見舞われた彼。
映画の準備に追われ、
身体を絞るため食べたいものもろくに食べず、
この撮影の後は香港の映画祭に行く予定だったっけ。

「大丈夫かな・・はぁ・・」
深いため息をついて彼の髪を撫でる。

せめて今はゆっくり眠らせてあげたい・・・・



「ねえ・・何だか顔辛そうよ・・大丈夫?」

出かける支度をする彼に上着を渡しながら揺は心配そうに声をかけた。

「目・・はれぼったいし・・風邪ひいた?」

「寝すぎだよ。お前が寝ろ寝ろってうるさく言うから8時間も寝ちゃった。心配するな。」

彼はそういってにっこり笑うと揺にそっとキスをした。

「うん。頑張ってね。ちゃんとご飯食べてね。」

「ああ。行ってくるよ」

部屋を後にする彼の後姿を揺は少し心配しながら見送った。








「ビョンホン具合悪いから今日は帰るから・・揺ちゃん明日までに何とかしてよ」

「具合悪いって・・」

「ちょっと熱っぽいみたいだ」

「すいません。私がついてたのに・・」

「いや、じゃあ頼むね」

ワンモから連絡をもらった揺は慌てて買出しに出かけた。






「ただいま・・・」

ビョンホンは静かに部屋に入ってきた。

「お帰り。お疲れ様。寒かったでしょ。具合悪いんだって?」

揺はそういいながら彼の額と首筋に手を当てた。
「そんなに熱はなさそうだけど・・・」
心配そうにつぶやく。

「うん・・・何だかずっと寒くて。」

そういいながら彼はクンクンと部屋の匂いをかいでいる。

「当たり前よ。
リンゴとかばっかり食べてるんだもの。
身体が熱を作れなくて悲鳴あげてる。
今日食べないって言ったら別れるからね。さ、手洗ってきて。」

洗面所から戻ってきたビョンホンを
揺は部屋の片隅のドリンクカウンターの上から小さい鍋を持ってきて出迎えた。

「熱い熱い」

「うぁ・・キムチチゲだ・・さっきから匂うと思ったんだ・・」
ビョンホンはあまりの嬉しさに半べそをかいている。

「ご飯もいっぱいあるから。お腹いっぱい食べて」

「でも・・」

「でもじゃありません。
ダイエットはまた始めればいいから。
身体壊しちゃなんにもならないでしょ。
それとも・・私と別れたいの?」

揺は怖い顔で彼を睨んだ。

彼はキムチチゲを見つめたまま激しく首を振る。

「じゃ、召し上がれ」

「いただきます」

「美味い・・・・最高に美味い・・・」

「明日からお弁当作ってあげるからちゃんと食べるのよ。」

「うんうん。あ~何か元気になってきた気がする」

「もう・・・ほら、ユッケジャンも、ほら牛丼も」

「うぁ~揺連れてきて本当に良かった」

「そういう問題?」
揺は呆れたように笑いながら
美味しそうにご飯を頬張る彼を満足げに見つめていた。





「で・・今日はどこに行ったの?」

シャワーを浴びて出てきた彼の髪をタオルで拭きながら揺は訊ねた。

「えっと・・トロカデロに行ってエッフェル塔とツーショットの写真を撮って・・・モンマルトルに行った。
それからカフェに行った。
あ、あとまたカメラ持って写真撮った・・ビラ・・なんて言ったかな。」

「ビル・アケム橋?」

「そうそう。今日はいっぱい自分で撮ったんだ。スキタ先生の写真も撮った。今度揺の写真も撮ってやるよ。」

「美人にとってくれないとクレームつけるわよ。」

「それは無理だ・・」
ビョンホンはそう言ってゲラゲラと笑った。

「もう・・」
揺は怒って彼の頭をタオルでグシャグシャに拭く。

「あぁ・・プロとして仕事に穴開けるなんて・・なっちゃいないな」
ビョンホンは大きくため息をついた。

明るそうにしているけど。
人一倍責任感の強い彼が自分の体調が原因で撮影の日程が変更になったことを気にしていないわけがない。

彼の想いが切なくて揺は胸が苦しかった。
何かしてあげたいと思っても
今の自分が彼にしてあげられることは髪を拭いてあげることぐらいしかないことが歯がゆくてならない。
彼女は思わず彼のまだちょっと湿った髪にくちづけた。

「とにかく、栄養は取ったし、お母様からいただいてきたお薬もしっかり飲んだし。
後は温かくして眠れば大丈夫」
揺は自分にも言い聞かせるようにそういうと彼を後ろからそっと抱きしめた。

「・・・折角、時間が出来たって具合が悪いんじゃ揺をどこにも連れて行ってやれないな」

「具合が良くなったら私がどこへでも連れて行ってあげるから」

揺は彼にそっとキスをする。

彼は仕方なさそうに頷いた。

「ほら、少し眠って。私は片付けしてくるから。はい、私の代わり」

揺はそういうと傍らにあった袋を手渡した。

「何?これ、あったかい・・・湯たんぽ?」

「うん。パリにもあるのよ。」

「でも・・」

「ん?」

「揺の方がいいな」

「・・もう・・。早く風邪治したらね。ほら、お布団に入って」

彼をベッドに押入れ、湯たんぽを入れる。

「あ~あったかい・・なんて幸せなんだ・・」

「良かったね・・幸せで。
お休みなさい。
南の島の夢でも見て。
裸で出演してあげる。」

揺はそういって微笑むと横になった彼のおでこにキスをした。

ビョンホンは微笑みながらそっと目を閉じた。


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